こんにちは!サーチャーの酒井です。
「検索漏れ。」
なんだか ドキリ、とする言葉だな、と感じるのは
きっと、私だけではないと思います。
先日、調査打合せの際に、
「検索漏れ」に対する質問を頂きました。
・・・というもの。
私は・・・
検索漏れはゼロにはできない。
100%網羅した検索は不可能。
と考えています。
ですので、最初の質問の答えは 「いいえ」 です。
※少し長くなりそうなので、折り畳みます。
まず最初に。
厳密にいうと
「数千万件の特許データの中に、当たり公報が何件あるのか?を予め知るのは不可能」です。知る事ができるとしたら、それって「網羅率100%の集合が作れる」ということですものね。
ですので、網羅率(下図ではヒット率と表現)とは
仮想的なものと考えて頂きたいのですが
まず、網羅率(ヒット率)を上げる話。
縦軸がヒット率だとして
あくまでも私の感覚ですが、
ヒット率90%辺りまでは、
短時間で、簡単に上げる事ができます!
(立ち上がりが早いイメージです。)
でもそこから先は、
微調整を繰り返しながらも、
じわじわ・・・としかヒット率が上がりません。
しかも、どんなに微調整しても、
「100%」はないです。98とか99が上限、という感じ。
これに対して集合の件数。
下図では「ヒット件数」と書いています。
検索でヒットする総件数とか、母集団と思ってください。
こちらは90%を越えた先、
微調整を繰り返すと、飛躍的に増えていきます。
たとえば・・・
「仮想的なヒット公報」が1000件あるとすると、
1000件の 1%は = 10件、ですよね。
そして、ヒット率を1%上げるとき、
言い換えると「新しいヒット公報を10件見つける」ために、
「母集団の件数が300件増える」、といった現象が起こります。
一般的に、グラフ上で右にいくほど、
母集団は飛躍的に大きくなっていきます。
そうすると・・・
記事タイトル「検索漏れに対する3つの考え方」ですが
まず、ある程度の漏れを許容するか/しないか。
ここで大きく2つに分かれます。
・どこまで行っても100%にはならないのだから、
検索漏れは論外、だとしても
ヒット率を追求しすぎ・母集団を大きくし過ぎるのは、
調査の所要時間やコストパフォーマンスの点で問題がある。
ある程度の漏れを許容し、
検索漏れについては、別の観点※からカバーする。
※たとえば、故意侵害ではない旨を主張できるよう準備、など。
という考え方と、
・実際に他社公報等で特有の言い回し、特有の表現を発見したら
可能な限り、すべて検索に取り入れる。
母集団が大きくなるのはやむを得ない、と考え、
なるべく100%に近づけた調査を目指す。
という考え方。
実はこれ、両方「あり」です。
私が出会った多くのケースを平均すると、
業種の差があるようでして、
電気・機械・ソフトウェアは「漏れを許容」
化学系は「なるべく100%」という考え方が多いように見受けられます。
そして・・・その折衷?案。
どちらかといえば「なるべく100%派」ではあるのですが、
・なるべく100%を目指したい。
しかし、頑張っても100%にはならない事も、
100%を目指す過程で、母集団が極端に大きくなる可能性も理解している。
それでも、検索技術で何とか増加率を抑えつつ
100%に近づけられませんか?
というもの。
よくわかります!その気持ち!
たとえば・・・
目についた他社の明細書表現を
やみくもに検索式に加えていったら、
確かにヒット率は上がったが
不要な公報も 5000件増えてしまった。(!!!)
という検索と、
目に付いた他社の明細書表現を、
検索方法を工夫しながら取り入れる事によって、
新たな要注意公報を発見しつつも、
母集団全体では 1500件の増加に抑えることができた。
という検索の違い、という感じでしょうか。
母集団件数が増える、ということは、
公報抽出まで丸ごと外注する場合、
ノイズの分まで、外注費を支払うことになりますし、
では社内で・・・というと、
社内技術者の工数を確実に消費してしまいます。
(どちらも、理想的とは言えないですよね)
「検索漏れは論外。でも時間とコストがかかり過ぎるのもNG」な方も、
「できれば100%を目指したい。
ある程度母集団が大きくなるのは許容できるが、
できれば、ノイズの増加を抑えてほしい。」という方も、
検索のご相談、お待ちしております!
今日は大阪で調査講習。
みなさま
よい1日を!
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