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2016/12/26

[読書]「伊右衛門」本、視野と視座の移動が爽快!




発売前から楽しみだった
新井信昭先生「伊右衛門本」



レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識
新井 信昭



この連休に読みました。



出版前に、こちらの本の事を知って、
一番最初に 「へぇー、珍しい!」 と思ったこと。

出版社が、新潮社なのですよね。

ビジネスマン向けの知財本で、
ダイヤモンド社とか、日経BP社などは見かける気がしますが、
新潮社は、あまり見かけた覚えがないな~、と。 


なので 


「より広い読者層を意識した本」 なんじゃないかな?
タイトルからして「伊右衛門」と「コカコーラ」だし。
有名な商品が登場して、
商品のイメージを思い浮かべながら、知財の事も学べる。
きっと、そんな本なんだろうな。


そんな”勝手予想”をしながら、楽しみにしていた一冊。



実際に読ませていただくと・・・
有名な商品が多く登場するのは、予想通り。

そしてワタシの感想は
「従来の知財本より、視野と視座の移動が大きくて爽快!
 ドローンからの映像を見せてもらっているような気分の本。」 です。



本の感想、長く語ってしまいそうなので、
記事は一旦折り畳みます。


すぐネット書店をチェックしたい方は、下記リンクご利用ください。
レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識








当ブログ読者の方は、
知財の仕事をされている方が多いかと思います。

この本では 「iPodのクリックホイール」や「切り餅訴訟」など。
有名事例も、取り上げられておりますが、

上記事例のポイントは 「一般向けにわかりやすく」なっており、
知財職の方だと 「そこはよく知っているから、いいかな。」と、
流し読みするページになるかも・・・しれないです。
ワタシも・・・そんな感じでした。 (←新井先生すみません。。)


興味深く読ませていただいたのは、そこではなくて。


知財以外の視点が、ふんだんに入ってくる感覚がとても面白かったです!


この記事のタイトル 「視野と視座の移動」 とつけましたが、
他に「視点」 というのも、ありますね。


ワタシなりに、「視点・視野・視座」を整理しますと。


「視点」
どの「点」に注目するか。
ボートを見ている??

「視野」
どの「範囲」を眺めているのか。
ボートだけを見ている?湖面全体?
山や空を含めた景色全体?

「視座」
「どこから」眺めているか
岸辺から? ボートに乗っている? 上空から?


・・・という感じに捉えています。



で。
「伊右衛門本」 は、視点・視座・視野の切り替えが多い感じがしたのです。

まるで、ドローンで飛び回りながら、知財の世界を眺めているよう。
スピード感と爽快感がある本だと思いました。




本書から、「面白い!」と思った箇所を2つ厳選で。

 ※本当はたーーくさんあるのですが
 ※、それだと大量抜粋になってしまうので、2箇所で!


ひとつめは、ソニーのストーリー。


新井先生は、20代の頃に「放浪しながら世界一周」をし、
帰国後は、旅で身に付けた英語力を活かし、秋葉原の免税店で働いておられたそうです。

免税店での販売は、本当に楽しかったです。なぜかというと、ソニーのカセット式ウオークマンが外国人客に飛ぶように売れたからです。ウォークマンが発売されたのは、前年の1979年のことでした。 (107ページ)


その後も携帯音楽プレーヤーの頂点に立っていたウォークマン。
しかし、2001年に登場したiPodに、その座を奪われてしまいました。

・・・公認会計士の前川修満氏は、ソニーの連結損益計算書(公開資料)を分析し「ソニーは最早エレクトロニクス企業ではない」と結論づけています。

なるほど数字を見る限り、ソニーの稼ぎ頭はエレクトロニクスではなく、「ソニー銀行」「ソニー生命」「ソニー損保」などの金融部門だとわかります。

では、ソニーを知財的にみると、どうなるでしょう。(107ページ)


・・・と登場するのが、108ページのグラフ。



短絡的に「技術開発が進んでいないからだ」 と見てしまいそうですが
(もちろん、それもあるとは考えられますが)


・・・私は明らかな開発予算の削減とみています。

ソニー銀行は2001年、ソニー生命は1979年、そしてソニー損保は1998年の設立だということを踏まえると、これらの成長を示す右肩上がりのグラフと右肩下がりの特許出願数とが完全にクロスしているように思えます。(108ページ)


確かに、稼ぎ頭が金融部門で、エレクトロニクスが低調であるならば、
開発予算は年々削減されても、不思議ではないですよね。。


子供の頃、高校生の従兄弟が
チョコッとだけウオークマンの音を聴かせてくれた時、
ものすごい衝撃を受けた事、今でもよく覚えている身としては、ちょっと寂しいですが・・・



昔、一世を風靡していた頃のお話、
出願統計、
財務データ、
金融部門の設立時期など、

ここは、視野の転換が、とても印象深かったです。



あとひとつ。グリコ・ポッキーのお話。(165ページ)





まっすぐに焼かれたポッキーのスティック部分を商品サイズにカットしてから、持ち手部分を残してチョコレートでコーティングするとのことですが、これを大量生産の中で自動化するのは、ものすごく高度な技術が必要となります。

スティック部分のあの細さを考えてみてください。力を加えればすぐに割れたり書けたりしてしまうことは簡単に想像できるでしょう。
(166ページ)


そして、製造設備は自社で独自開発。

特許なども出願せずにきている様子だ、とのこと。

ポッキーという形状は見せるけれども(オープン)、製造設備、製造方法を門外不出「見せない、出さない、話さない」にした(クローズ)。
(166ページ)


「なるほど!」と思ったのは
埼玉県にある、グリコの工場見学施設「グリコピア・イースト」のお話。
「ポッキーストリート」という見学路があって、ポッキーの製造工程を見学できるそうなのですが


とはいえ、ある工程部分にはしっかりと赤い幕が張られ、見えないようになっています。その工程部分とは?

「持ち手部分」を残しながら、均一にチョコレートでコーティングするところ。
(167ページ)




ちなみに、グリコの公式動画でも、
コーティングの箇所は、全く映っておりません(・・・素晴らしい情報管理!





こちらも、「オープン・クローズ戦略と考えられる」といった、
推定レベルの話だけには留まらず、


「工場見学施設でも、しっかり赤い幕が張られていた」 というお話に、
とてもリアリティを感じました。





他のお話も、とても面白かったです。
年末読書のおともに、
飛び回る「視点・視野・視座」を感じる1冊をぜひ(^^)。


レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識
新井 信昭








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