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発売前から楽しみだった
新井信昭先生の「伊右衛門本」。
レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識
新井 信昭
この連休に読みました。
出版前に、こちらの本の事を知って、
一番最初に 「へぇー、珍しい!」 と思ったこと。
出版社が、新潮社なのですよね。
ビジネスマン向けの知財本で、
ダイヤモンド社とか、日経BP社などは見かける気がしますが、
新潮社は、あまり見かけた覚えがないな~、と。
なので
「より広い読者層を意識した本」 なんじゃないかな?
タイトルからして「伊右衛門」と「コカコーラ」だし。
有名な商品が登場して、
商品のイメージを思い浮かべながら、知財の事も学べる。
きっと、そんな本なんだろうな。
そんな”勝手予想”をしながら、楽しみにしていた一冊。
実際に読ませていただくと・・・
有名な商品が多く登場するのは、予想通り。
そしてワタシの感想は
「従来の知財本より、視野と視座の移動が大きくて爽快!
ドローンからの映像を見せてもらっているような気分の本。」 です。
本の感想、長く語ってしまいそうなので、
記事は一旦折り畳みます。
すぐネット書店をチェックしたい方は、下記リンクご利用ください。
レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識
当ブログ読者の方は、
知財の仕事をされている方が多いかと思います。
この本では 「iPodのクリックホイール」や「切り餅訴訟」など。
有名事例も、取り上げられておりますが、
上記事例のポイントは 「一般向けにわかりやすく」なっており、
知財職の方だと 「そこはよく知っているから、いいかな。」と、
流し読みするページになるかも・・・しれないです。
ワタシも・・・そんな感じでした。 (←新井先生すみません。。)
興味深く読ませていただいたのは、そこではなくて。
知財以外の視点が、ふんだんに入ってくる感覚がとても面白かったです!
この記事のタイトル 「視野と視座の移動」 とつけましたが、
他に「視点」 というのも、ありますね。
ワタシなりに、「視点・視野・視座」を整理しますと。
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「視点」
どの「点」に注目するか。
ボートを見ている??
「視野」
どの「範囲」を眺めているのか。
ボートだけを見ている?湖面全体?
山や空を含めた景色全体?
「視座」
「どこから」眺めているか。
岸辺から? ボートに乗っている? 上空から?
・・・という感じに捉えています。
で。
「伊右衛門本」 は、視点・視座・視野の切り替えが多い感じがしたのです。
まるで、ドローンで飛び回りながら、知財の世界を眺めているよう。
スピード感と爽快感がある本だと思いました。
本書から、「面白い!」と思った箇所を2つ厳選で。
※本当はたーーくさんあるのですが
※、それだと大量抜粋になってしまうので、2箇所で!
ひとつめは、ソニーのストーリー。
新井先生は、20代の頃に「放浪しながら世界一周」をし、
帰国後は、旅で身に付けた英語力を活かし、秋葉原の免税店で働いておられたそうです。
その後も携帯音楽プレーヤーの頂点に立っていたウォークマン。
しかし、2001年に登場したiPodに、その座を奪われてしまいました。
・・・と登場するのが、108ページのグラフ。
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短絡的に「技術開発が進んでいないからだ」 と見てしまいそうですが
(もちろん、それもあるとは考えられますが)
確かに、稼ぎ頭が金融部門で、エレクトロニクスが低調であるならば、
開発予算は年々削減されても、不思議ではないですよね。。
子供の頃、高校生の従兄弟が
チョコッとだけウオークマンの音を聴かせてくれた時、
ものすごい衝撃を受けた事、今でもよく覚えている身としては、ちょっと寂しいですが・・・
昔、一世を風靡していた頃のお話、
出願統計、
財務データ、
金融部門の設立時期など、
ここは、視野の転換が、とても印象深かったです。
あとひとつ。グリコ・ポッキーのお話。(165ページ)
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そして、製造設備は自社で独自開発。
特許なども出願せずにきている様子だ、とのこと。
「なるほど!」と思ったのは
埼玉県にある、グリコの工場見学施設「グリコピア・イースト」のお話。
「ポッキーストリート」という見学路があって、ポッキーの製造工程を見学できるそうなのですが
ちなみに、グリコの公式動画でも、
コーティングの箇所は、全く映っておりません。(・・・素晴らしい情報管理!
こちらも、「オープン・クローズ戦略と考えられる」といった、
推定レベルの話だけには留まらず、
「工場見学施設でも、しっかり赤い幕が張られていた」 というお話に、
とてもリアリティを感じました。
他のお話も、とても面白かったです。
年末読書のおともに、
飛び回る「視点・視野・視座」を感じる1冊をぜひ(^^)。
レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識
新井 信昭
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