調査とヒアリング/警告状を送る気持ち・・・? (1)
John T
侵害予防調査とヒアリング、最終回です。
ここまでのキーワード
・権利行使の背景には「使える権利×動機」
・競争と独占ならば、独占側に移行しようとする「動機」(SCPパラダイム)
・現状維持と権利行使、どちらが得? (ゲーム理論)
今日は「これ以外」の、
一番人間らしいかもしれない?お話です。
知財業界では、一番有名な話のひとつ、と言っても良いかと思います。
「新潟・切り餅訴訟」
新潟の製造業者は、
工業試験場とも協力しながら
一丸となってパック入り切り餅のカビ防止に取り組んだ、と
どこかで読んだ記憶もあるのですが、
そうでなくても
「同じ地域内で、どうしてあんな風に・・・?」
という感想を持たれた方も、多かったかもしれませんね。
下記は、越後製菓側のコメントです。
実際にはもっともっと、
インタビューでは語りにくい事などもあったでしょうし、
サトウ商品側の言い分もあるでしょう。
が、
私は「提訴に踏み切った理由がよく現れているのではないか」と感じました。
今回も折り畳みます。
権利行使の動機の「人間っぽい部分」って、
「ルサンチマンの解消」が関わっている事が多そうだな、と思っています。
ルサンチマン・・・
時折見かける事はあっても、
意味がよくわからない単語ですよね。
関連語「シャーデンフロイデ」もセットで
※いずれもWikipediaからです。
ルサンチマンを解消して
「他人の不幸で飯がうまい」というセット・・・
「素敵な事」とは言い難いものの、よくあるのも事実かと。
例はたくさん挙げられますよ? (悪い顔
・自社事業が不調、なのに競合は絶好調。
せめて、何か権利行使とかできないの?
(競争+ルサンチマンの解消かな、って思ってます)
・ライセンス料についてなるべく穏便に切り出したのに
判定請求をしてくるなんて!
(先ほどの越後製菓。想像入ってますが^^)
・企業に発明を使ってくれるよう、提案の手紙を送ったのに
対応がとても冷ややかだった!
絶対、この技術を使っているはずなのに!
・何とかして金儲けをしたい。
…休眠特許を安く買い集めて売り込もう!
当たって砕けろだ。
・事業部を畳む事になって、最後に特許権だけが残った。
待てよ!
これで権利行使したら、実施料だけが懐に入るじゃないか・・・?
・長年部品を供給していた取引先。
「来年から、部品を内製化するので取引を減らしたいのです・・・」
と申し入れがあった。
こちらはその部品の生産ラインもあるし、雇用も維持しているのに!
・・・というような
全般的に「こちらに悪意の矢印が向いてる」感じの、あれこれです。
ルサンチマンの説明には
「主に弱者が強者に対して」って入ってるんですが、
自分の見てきた範囲でも、
損益分岐点ギリギリ・・・とか、
ぎゃー!赤字転落! って時期は
あまり警告状って来ないのに、
損益改善したり、
絶好調になって、
雑誌特集号で表紙に社名が出たりすると、
警告状が増えたりするのよね・・・という(汗
それって、自分たちは変化していないように感じるし、
「今まで頑張ってきて、やっと収益改善!」って感覚なんだけど
相対的に「強者」側に変化してて、
権利行使のターゲットに挙がってる、って事だと思うんですよね。
ダラダラと書いてきましたが
「収益上がったときに、誰に恨まれたり妬まれたりするかな?」
と考えてみるのも、
危険度を推定するヒントになります!
このシリーズはひとまずここまで。
(何か思い出したら、書き足すかもしれません)
お付き合い頂き、ありがとうございました^^
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