調査とヒアリング/警告状を送る気持ち・・・? (1)
Nick den Breejen
こんにちは!サーチャーの酒井美里です。
侵害予防調査とヒアリング周辺のこのシリーズ。
最初は 「権利行使をする人は、動機と権利、両方を持っている」こと、
前回は 「競争と独占、企業は右側に移動しようとする」ことを書きました。
今回は
「独占側に移る事には合理性がある、とされているけれど
『今まで通りでいよう』という判断にも合理性があったりする」
というお話。
ものすごく単純化した例、で説明します。
業界に参入している企業自体は、
それなりにたくさんあるのだけれど、
「大手」と言えるのは上位の2社、
A社とB社だとして・・・
A社がB社に対して、権利行使やら何やら
あらゆる策を講じてB社のシェアを浸食し、
独占状態に近づいた、とします。
(実際はそんなに単純じゃないですよね・・・
ここでは単に「B社のシェアが下がったのね」程度に
イメージして頂ければと存じます。)
そうしたら、一時はA社の天下かもしれないですが、
何しろ今どき、21世紀のこと。
B社の業績が悪化したのを見て、
チャンス!とばかりに、
海外企業がB社を買収し、
何年か後には、B社がぐぐっと盛り返す。
なーんて可能性も否定できませんし。
何となくA社・B社の均衡で押さえつけられていた
3位以下グループの動きが活発化して、
市場が「競争」(左側)の方に傾くかもしれません。
※ 一旦折り畳みます ※
そうなると、最初に仕掛けたA社にとっては
「2社でずっと均衡を保って、
シェアや価格を維持していた方が良かったのかな」
という可能性もある。。
また
どちらかが先に権利行使した場合、
相手もカウンターパンチを出すかも(又は出さないかも)
と考えると
※数字は適当です。(陳謝
「どちらかが権利行使をして、
相手がカウンターパンチを出してこなければ、
確かに自社にメリットはあるかもしれない」
「けれど、殴り合いになったら両者に大ダメージだろうし(左上)」
「だったら、大した変化がなくても(右下)現状維持が妥当かも」
・・・みたいな感じです。ゲーム理論。
この記事でも単語だけ登場した、ゲーム理論。
「ゲーム」をするために、一度勉強してみたんですけど、
なかなか難しいですね。。
市場の競争環境だけではなくて
「特許的には権利行使できなくもないのだけれど
原材料の購買関係もあって、
取引的には良好な関係を維持したい。どうしたら良いか」
みたいなのも、ゲーム理論が適用できそうです。
そして「侵害予防調査とヒアリング」に戻りますと、
相手にとって、
権利行使する合理性が高くて、
使える権利も持っていたら、危険性が上がるのでした。
競合他社と、長い間力関係が均衡していて、
「均衡を破るメリット(合理性)」があまりなかったら、
危険性は低いのかもしれないし、
向こう側で
「いやいや、確かに均衡してきたけれど、
世の中も市場環境も変わってきていて、
求められている製品も昔とは違う。
多少カウンターパンチを喰らうかもしれないけれども
ここはガツンと!!」
・・・という意志決定をしていたら、
普通に警戒度が上がりますよね。
知財的にはバッチバチの火花が飛びそうな関係なんだけど、
不思議と開発者は仲が良い・・・とかだと、
また、状況が変わります。
ヒアリングだと、細かい関係性までは不明、というケースも多々ありますが、
そのような時は「プラスマイナス0」で。
緊張関係があり要注意だと
「警戒度+1」「+2」と加点する感じに考えています。
・・・と、ここまでが「事業会社同士」のお話。
・今は事業をしていない(事業化断念、事業部終結など)
・非実施主体 (NPE)
・個人発明家
など、製品を作っていない人たちには
「事業の力関係」とは違った動機がありそうですよね。
というのが、次のお話です。
次回でおしまい、の予定です^^
それでは!
お問合せはこちら
■ご案内■
0 件のコメント:
コメントを投稿