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2019/10/10

[検索メモ] 旭化成・吉野名誉フェローと「出願人表記のゆれ」



こんにちは!サーチャーの酒井美里です。

昨夜から、旭化成・吉野名誉フェローが
「リチウムイオン電池の研究」で
2019ノーベル化学賞を受賞されたニュースが
駆け巡っていますね。

産業界からのノーベル賞、
とても嬉しいことだな、と感じています。
それに、
今年は欧州発明賞も受賞されていて、ダブル受賞。素晴らしいですよね。


上記動画はEPOの制作したもので、
発明に焦点を当てつつ、
特許のライセンスについても一部説明しています。


さて
欧州発明賞のページには EP特許番号も記載されているのですが、
Winner of the European Inventor Award 2019
Akira Yoshino (JP)

Patent numbers : EP2063435, EP2063436
※公報番号のリンクはGoogle Patentsです。
※Espacenetの公報URL、あとしばらくで変わってしまいますので。

間違いなく、他にも多くの特許が出願されているのだろう、と想像されます。

・他に何件程度の特許が
・どの国・地域で

出願されているのか、と興味を覚えて
実際に検索してみました。

この検索のポイントは
出願人の表記ゆれ と 受賞技術(リチウムイオン電池/ポリマー)関連語
です。


検索例にお付き合い頂ける方は
記事の続きにどうぞ^^



このテーマ、シンプルに考えると
出願人=旭化成 and 発明者=吉野彰
で検索できそうですよね。

全世界で調べるならば
出願人=Asahi Kasei and 発明者=Akira Yoshino
となりそうですが、


ここで注目したいのが

◇出願人の表記ゆれ


「表記ゆれ」とは 出願人名の文字列に

・ローマ字表記と英語表記
・法人格の表記が異なる
・(おそらく)誤記

などのバリエーションがある、という状態のことです。


欧州発明賞の対象のひとつ
EP2063435号のデータを Espasenetで確認すると


EPOデータには、英語表記とローマ字表記、
両方が収録されているようだ、と見当がつきます。

今回は、表記ゆれ確認用に
EPOの GPI (Global Patent Index)データを使います。


GPIでは、
収録されているインデックスを確認できまして、

まず Asahi Kasei 。
さすが出願件数の多い企業、異表記もとても多いです。

(1画面内に収まりきっておりません)


「じゃあ、Asahi Chemicalでは?」・・・って思いますよね?


はい。Asahi Chemicalでも、
1画面に収まらないほど表記のバリエーションがあります。



この場合は 部分一致検索 で、
変化している文字列を削除し、
ほとんど変化しない文字列を残して

INV = "akira yoshino" and APP = ("asahi kasei" or "Asahi chemical")

と検索します。


ちなみに


Asahi Kaseiのみで検索 = 44ファミリー
Asahi Kasei + Asahi Chemical = 97ファミリー
Asahi Chemicalのみで検索 = 91ファミリー

・・・となり、

英語表記とローマ字表記、両方を併用すると漏れを防止できる。
と言えます。




◇リチウムイオン電池関連語のバリエーション


上記の要領で作った集合、
すべてが 発明者=吉野彰 ではありますが、
全部「リチウムイオン電池に関連する内容」ではなさそうです。

一例を挙げると、
ここまででヒットした出願のうち、
比較的古いデータの中には
「植物成長制御方法」なども含まれていたからです。



このため、少しだけキーワードで絞り込んで

INV = "akira yoshino" and APP = ("Asahi chemical") and word=(polyacetylene or polymer or battery or lithium or electrode or electrolyte)

としてみました。

キーワード前半は「ポリアセチレンや、ポリマーに関連する発明」
polyacetylene or polymer

後半は「電池に関連する発明」がターゲットです。
battery or lithium or electrode or electrolyte


上記の手順で検索し、
最後に、ファミリー番号検索で抜け・漏れを補った結果は
全部で84ファミリー(141出願)

出願数÷ファミリー数 ≓ 1.68 です。

外国出願が多いのか、少ないのか。
もちろん、一概に言えない部分はありますが、

個人的には
ノーベル賞に輝き、
世界中で多くの人が恩恵にあずかっている発明、と考えると
思っていたより外国出願は少ないかな、
という印象を受けました。

今回のデータで得られた出願先は下記の通り
(出願件数ベースで集計)


日本出願の次に多いアメリカ出願で11件。
やっぱり、個人的な予想よりは少ないな、と思うとともに
「大発明って、出願件数じゃないんだな。。」
なんて、改めて感じました。


それでは^^



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