CPC(共同体分類) を理解するために、ECLA(欧州特許分類) をおさらいするシリーズ、3回目です。
前回は 「ECLAはIPCの細分化。この点はFI記号に似ています。」という話でした。
今回はECLAの付与の話。
こちらは、FI記号と似ている点と、FI記号やIPCとは異なる点があります。
● FI記号やIPCに似ている点
- 出願の、発明主題を中心に付与されます。
- 欧州特許出願には、まずECLAが付与されます。IPCはECLAとの対応表に基づく付与です。 (FIに似ている点)
- 複数国・機関の公報にECLAが付与されます。(これはIPCに似ている点)
● FI記号、IPCとは異なる点
- 欧州特許庁(EPO)だけが、ECLAの付与をします。
- ECLAは非特許文献にも付与されます。
今回は 「FIやIPCとは異なる点」、ECLAだけの特徴を中心にみていきます。
● 欧州特許庁(EPO)だけが、ECLAの付与をします。
IPCもECLAも 「複数国・機関の公報に付与され、検索に使える」 という共通点があります。
但し、分類付与のしくみは大きく違っています。
IPCの場合は、世界各国で使われ・分類付与も各国で行われています。
このため 「国によって付与基準が違う・・・よねぇ?」 「 中国特許に付与されているIPCって、どうよ?」 などと、不便さや疑問を感じた経験のある方も、きっと多いと思います。
ECLAの場合、欧州の公報の他、PCTミニマムドキュメント(英語・ドイツ語・フランス語文献)や、オランダ、ベルギー等の特許出願、非特許文献の一部などに付与されていますが、
これらはすべて欧州特許庁(EPO) で付与を行っています。また、最初にECLAが付与された特許と同じファミリーには、自動的に同じECLAが付与されます。
すべて欧州特許庁で付与する、ということで、国による分類付与のばらつきが出ない点に、大きなメリットがある、とされています。
ちなみに、この記事は CPCの予習 の位置づけですが・・・
CPC分類に移行後、米国特許に対するCPC付与も 「全部欧州特許庁で行います」 というアナウンスが出されています。(既発行公報も含めて、です。)
最初見たときは 「なんて太っ腹な!」 と感動しましたが、
これも、分類付与レベルのばらつきを作らないための措置、と考えられます。
● EPOでは、他機関の公報や非特許文献にもECLAを付与しています。
先ほどの説明と重複しますが、
欧州特許庁では、EPOに出願された特許の他に、
- PCTミニマムドキュメント(英語・ドイツ語・フランス語文献)
- オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの特許出願
- ドイツ実用新案
- 上記各文献のパテントファミリー
- 以上には当てはまらないが、審査引例などに使った各国公報
- 一部の非特許文献
に対して、ECLAの付与をおこないます。
ちなみに非特許文献というのは 「学術論文など」 です。
欧州の審査官が参考にしたとか、実際に引例に使った文献への付与が多いですね!
今後は実質的に、米国特許が加わるという状況です。
※余談ですが、Espacenetですと、公報発行国コードが XP となっているのが、非特許文献です。ECLAで、ごく普通に検索できるんですよ~。普通の特許などに混ざって出てきます。
今後は、米国特許の既発行公報に対しても、
ECLA/CPCの付与が行われる、という事で、
件数を想像して 「そんな無茶な!」 と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
何と言っても、スケジュールがこれ↓ですものね。
※ 分類表もまだリリースされてないんだけど、来年1月にはCPC移行するよ!というあの話。
それが、意外と無茶でもなくて!
もう、10年ほど前からでしょうか。 (正確なところ、うろ覚えですみません)
米国特許分類に 「Eサブクラス」 というのが設置されています。
詳細は省略しますが、Eサブクラスというのは、
ECLA分類が、部分的に米国特許分類に取り込まれたもの、です。
いや・・・ECLAが米国分類内に出張所を作った、って感じが正しいのかも?
とにかく。
かなり以前から、ECLAと米国分類、一部が連動していまして、
データ交換もなされてきていますので、
今回のスケジュール、そこまで無茶というわけではなさそうですよ!
※ Eサブクラスも、色々と面白いしくみがあるのですが、
たぶん、CPC移行時に自動消滅(?)すると思われるので、
今回の説明は省略させていただきますね☆
えっと・・・・3回にわたった ECLAの基礎説明は、これでおしまいです。
次回からは、謎だらけ(うそうそ) の分類、ICO編に突入します。
「ECLAが表、ICOが裏 」 みたいになってますので、
初めて目にする方も、そこまで混乱はしないかと思います~♪
次回は→ [CPC]・・・の基礎知識(4) 「アイコ」って、一体誰なのよ!? ~ ICO / in Computer Only (タイトル長っ!)の巻です。
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ECLA(エクラ) 編 全目次
◆[CPC]Espacenetの移行は2013年早々。分類表のリリースは10月。
◆[CPC]・・・の基礎知識(1) ECLA(欧州特許分類)編
◆[CPC]・・・の基礎知識(2) ECLA(欧州特許分類)はFIに似た分類体系
◆[CPC]・・・の基礎知識(3) ECLAの特徴は「付与」にあり
◆[CPC]・・・の基礎知識(4) 「アイコ」って、一体誰なのよ!? ~ ICO / in Computer Only
◆[CPC]・・・の基礎知識(5) ICOを使ってみる
◆[CPC]・・・の基礎知識(6) ICOで「今」押さえるポイントはここ
◆[CPC]CPCの基礎知識 (終) ECLA+ICO+USPC=CPC
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