おはようございます。酒井です。
今週もEPOのSearch Matter 2015 から。
今回は「ナイジェルさん」ではなく(微笑
”アジア特許情報の現状”の巻 から。
(原題|Asian documentation at the European Patent Office)
説明者はNorbert Glaserさん↓
自己紹介で「ドイツ出身です。」と言っておられました。
あと、日本の特許庁に研修でいらしていた事もあるようです。
全体的には
「EPOの保有するアジア特許情報の現状」についての説明ですが、
EPO保有データは、
DocDBの形で商用DBに搭載されている事も多いので、
「商用DBユーザーも含めて、
アジア特許を検索する際、
気に留めておくと良さそうな事」
と考えたらいいのかな? と思います。
コンテンツの概要は、記事の続きからどうぞ。
以下、特に注釈のない画像は
Asian documentation at the European Patent Office|PDF資料からの引用です。
まず冒頭から。
近年のJP,CN,KRの公報に対して、
英語、ドイツ語、フランス語のいずれかで記述されたファミリー公報がある率です。
赤字で記載されている通り、
中国特許に対して、EN,DE,FRのファミリーがある率が、急速に低下しています。
原因について
詳しい説明はなかったように思いますが、
・中国の出願件数が急速に増加する一方
・とりわけ実用新案は、中国単独出願が多いため
ではないかと思われます。
従来からのCPC付与ルール、
「ファミリー内に、CPC付与対象国が含まれていると
(EPOのデータはファミリー単位なので)
自動的にCPCが付与される」
という方式に従うと、
中国特許へのCPC付与率、
近年は低下してきているのかな?と思いました。
※なお、中国特許庁では2016年からCPC付与がスタートする予定です。
続いて
分野別(IPCを特定して)の、CPC付与率です。
動画説明では「先行資料」と言っていましたが、
これは、特許審査で使われた資料、ということなのか?
それとも審査官にとっての先行資料=既発行公報、と解釈していいのか・・・?
そこのところが、正確に特定できておりません。
すみません・・・ な、このスライド↓
IPCでA61F13、を見た場合、の分類付与率です。
CPC付与率が44%、残りはIPCのみ、という割合になっています。
※ちなみにこのIPCは、包帯や吸収パッドの分類です。
IPCのみが付与された文献(公報)の内訳を見ると、
日本 51%、中国24%、韓国6%、その他が19%。
CPCの付与されていない公報は、
大半がアジア特許、ということになります。
こちらは
同分野(A61F13)について、経時変化をみたものです。
上から
■ CPCが付与されたもの
■ KR (CPCなし)
■ CN (CPCなし)
■ JP (CPCなし) です。
先ほどの円グラフですと、
日本公報の"CPCが付与されていない率"が高かったのですが、
こちらのグラフで見ると、
中国公報の"CPCが付与されていない率"が急増している事がわかります。
これって、最初のグラフの
中国特許に対して、EN,DE,FRのファミリーがある率が、急速に低下
というトピックと、割と一致する傾向なのではないでしょうか?
以上のような点を踏まえて、
EPOの審査官は、下記のような分類を選んでいるそうです。
EP審査官の方々、
おそらく「CPCだけで検索できたら便利なのに」とか、
思っていそうな気がしますが(^^;
アジアに先行例がありそうな場合、
IPCを組合わせたり、
知識のある審査官は、日本のFI-Fタームシステムを使ったりする、
という感じみたいです。
・・・かなり手堅い選択で、なんだか
「裏技みたいなのはないのー?」 って言いたくなりますが(笑
そうはいっても、
現状ではEP審査官も
アジア特許をサーチするなら、IPCを組合わせるのが確実
って認識しているんだな、と再確認しました。
また、
自分でアジア特許を検索する際にも、
・中国特許では、欧米にファミリーがない公報が、年々増えている点
・中国特許のCPC付与率も、それに従って低下傾向にある点
他、Citation等についても、
いくつか説明がありました。
資料全体を確認したい方は、下記リンク↓からどうぞ
Asian documentation at the European Patent Office|PDF資料
□ [CPC] 関連資料リンク集はこちら□
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